相続放棄
相続放棄とは
相続人が、自己のために開始した相続にかかる権利義務を確定的に消滅させる意思表示のことです。
その意思表示は、民法の規定(938条)により、自己に相続があったことを知ってから3ヶ月以内(申述期間)に家庭裁判所に申述することを要し、その申述受理の審判の成立により、その効果が発生します。
相続放棄の手続き
限定承認と違い、相続人各自の判断で単独で行います。
放棄しようとする者が未成年者の場合には法定代理人となる親等、また、相続人である未成年者とその親等が利害対立するような場合にはその親等は申述人となりえず、家庭裁判所に別途特別代理人の選任申し立てが必要となります。
被相続人の相続開始地(最後の住所地)管轄の家庭裁判所
被相続人と相続人の戸除籍・住民票・住民票除票各1通。
署名は自署、押印は認印で結構です。
相続権を完全に放棄する制度なので、限定承認のような財産目録を提出する必要はありません。
相続人ひとりにつき、1,040円
(収入印紙800円、80円切手3枚/平成21年京都)
約1~2週間で家庭裁判所から照会書類が届きますので、その書類に必要事項を記入し、署名・押印のうえ返送します。
家裁で認められれば受理通知が郵送されてくるので、必要に応じ相続放棄申述受理証明書の交付申請(1通 150円/平成21年京都)をすれば完了となります。
以前、書類を提出した放棄者が、裁判所から届いた封筒を開けずに放置していたことがありました。
差出人が家庭裁判所名でなく書記官個人名の茶封筒で届いたため、「知らない人からの封筒なので時間があれば見よう」と思い、放置していたそうです。要注意ですね。
Q&A
熟慮期間である3ヶ月以内の起算日は、最高裁によると、原則「被相続人死亡の事実のほかに自己が法律上相続人となったことを覚知した時」とされ、例外として「相続財産が全く無いと信じたことに相当な理由がある場合には、相続財産の存在を認識した時」としています。事情によりその期間の延長が認められることもあります。
生命保険金等や退職手当金等は、民法上の相続財産ではなく、自己の固有の財産とみなされるため、放棄しても受け取れます。
但し、相続税法上はみなし相続財産として、課税の公平の見地から相続財産に組み入れて相続税額の算出を行います。
また、放棄した者は相続人ではないので各非課税控除もできません。
ただ、放棄した者も非課税限度額(500万円×法定相続人の数)計算の法定相続人の頭数には含まれるため、他の生命保険金等受取相続人の非課税控除には貢献することになります。
遺留分が相続前に放棄できるのに対し、相続放棄は事前放棄はできません。
相続放棄の効果
その者は最初から相続人でなかったものとみなされます。放棄した者の子にも代襲相続されません。
京都相続・後見サポートでは、専門家である司法書士が熟慮期間の3ヶ月を過ぎた場合の相談に応じています。
自分だけの思い込みで、放棄は無理だと判断せず、大きな借金を背負わないためにも是非一度、相談してみてください。
限定承認とは
被相続人の権利義務を無限に承継する単純承認と違い、限定承認は財産の方が債務より多い場合やどうしても相続したい不動産等がある場合に有効で、明らかに債務の方が多い場合には相続放棄を選択します。
手続きも熟慮期間である3ヶ月以内に家庭裁判所に申述する等相続放棄に似ているので省略しますが、以下の点で相続放棄とは異なります。
1.相続人が複数いれば全員でしなければならない。
2.財産目録を提出しなければならない。
3.相続人が複数いる場合、相続人の中から相続財産管理人が選任される。
4.債権者や受遺者に対し限定承認した旨の催告・公告をしなければならず、公平の見地から換価・弁済についても規定があり、清算手続きは非常に複雑である。
5.資産の移転については、相続時の価額相当額で譲渡があったものとして、所得税(譲渡所得)が課せられる。
但し、その譲渡税は譲渡したとみなされた被相続人に課せられるものなので、相続税の計算ではその税額相当額は公租公課として相続財産から債務控除できます。





